オフィスのパーソナルスペースは最適ですか？働きやすい距離感の設計で生産性向上を実現しましょう

近年、オフィス環境の整備において「パーソナルスペース」の概念が注目されています。単なる距離感の問題ではなく、従業員一人ひとりが心理的な安心感を保ちながら働くための重要な要素です。適切な距離が確保されていないと、集中力の低下やストレスの蓄積につながり、ひいては企業全体の生産性にも影響を及ぼします。

本記事では、オフィス空間におけるパーソナルスペースの考え方をわかりやすく整理するとともに、働きやすいレイアウトを実現するための具体的なポイントをご紹介します。

そもそもパーソナルスペースとは

パーソナルスペースとは、他者が近づかれると不快に感じる、個人の心理的・物理的な領域のことを指します。「なんだか距離が近い」と感じた経験がある場合、その人のパーソナルスペースに踏み込まれている可能性があります。

適切な距離が保たれることで、コミュニケーションが円滑になり、仕事においても良好な人間関係が築かれます。心理学では次のように分類されています。

公衆距離（3.5m以上）　セミナーや講演会など、大人数に向けて話す場面
社会距離（1.2m〜3.5m）　面接、会議、商談など、業務的な会話の距離感
個体距離（45cm〜1.2m）　同僚や友人など、親しいが密接ではない関係性
密接距離（0cm〜45cm）　家族や恋人など、極めて近い距離の関係性

オフィスでは多くの場合、この「社会距離」を意識したレイアウトが重要になります。

オフィスにおけるパーソナルスペースの重要性

オフィス環境でパーソナルスペースを確保できていない場合、以下のような問題が起こりやすくなります。

・集中力の低下
・会話や雑音によるストレスの増加
・他者の視線が気になり心理的負担が高まる
・生産性が下がり、業務効率も悪化する

従業員同士が適切な距離を保ちながら働ける環境を整えることで、安心感の醸成と作業効率の向上につながります。ここからは、オフィス内の各エリアで意識すべきポイントを解説します。

執務室での距離感設計

一般的に、多くの企業では長机を使用し等間隔で座席を配置しています。この場合、隣同士の距離が近くなりやすく、無意識のうちに他者の動きや気配が気になることがあります。

座席間の距離は、パーソナルスペースの観点から1.2m程度が適切とされています。距離が近すぎると、話し声やキーボード音などが気になり、十分に集中できません。また、周囲の忙しさがそのままストレスとして伝わることもあります。

デスクの配置や向きを工夫することで視線が交差しにくくなり、限られた空間でも快適性を高めることができます。

会議室での距離の取り方

会議室は議論を深め、意思決定を行う重要な場所です。距離が近すぎると意見が出にくく、遠すぎると声が届かず議論の流れが悪くなるという問題が生じます。

そのため、会議室でも1.2m程度の距離が効果的といわれています。大きなテーブルを中心に座席を均等に配置し、参加者同士が適切な距離を保てるように整えることが理想的です。

狭いオフィスでも「広く感じさせる工夫」が有効

オフィスによっては、物理的に十分なスペースを確保できないケースもあります。そのような場合は「体感として広く感じさせる工夫」が重要になります。

・パーテーションの設置による空間の区分け
・フリーアドレスやオープンスペースの導入による人の分散
・三角形や丸型テーブル、カウンターデスクの活用
・視線が交差しないレイアウトへの変更

また、会議室が狭い場合は、参加人数を調整したり、一部をオンライン参加に切り替える方法も効果的です。

性別や性格によってもパーソナルスペースは異なる

パーソナルスペースの取り方には個人差があります。性別や性格によって感覚が異なるため、画一的なレイアウトでは全員が快適に働けるとは限りません。

男性　楕円形のパーソナルスペースを持つ傾向
女性　円形のパーソナルスペースを持つ傾向
外交的な人　距離が近くても気になりにくい
内向的な人　広い距離を必要とする傾向

従業員にヒアリングを行うことで、より適したレイアウトを導き出すことができます。特に、社内の人間関係や業務フローを理解しているベテラン社員の意見は非常に参考になります。

パーソナルスペースを意識したレイアウトづくりは専門家へ

岡山オフィスづくり.comでは、執務室から会議室、エントランス、応接室まで、あらゆる空間においてパーソナルスペースを考慮したレイアウトをご提案しています。まずは丁寧なヒアリングからスタートし、企業の課題や働き方に合わせた最適な空間づくりをサポートします。

働きやすい距離感が保たれたオフィスは、ストレスの軽減だけでなくコミュニケーションの質向上、生産性の向上にもつながります。従業員が快適に働ける環境づくりを通して、企業の持続的な成長を後押しいたします。

関連記事

コスパ重視でここまで変わる　パーテーション活用で実現する失敗しないオフィスレイアウト改善

社員の“心の離職”を防ぐオフィス改革：離職防止の具体例をもとに解説