年内の備品購入は大丈夫?「少額減価償却資産の特例」を賢く活用する実務ヒント

決算までに購入しておきたい備品はありませんか。資本金1億円以下の中小企業や、青色申告の個人事業主であれば、「少額減価償却資産の特例」を活用して、一定の資産を取得(または使用開始)した年に一括で経費計上できる可能性があります。特に年末は、導入時期の判断が損益・節税の観点で効くタイミングです。

一方で、この特例は適用要件上限他制度との選択関係など、いくつかの確認ポイントがあります。本記事では、年内導入を検討する際に押さえるべき制度の要点と注意点、実務でのチェックリストまでを簡潔に整理します。


制度の概要|少額減価償却資産の特例とは

少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産について、購入(または使用開始)した事業年度に全額を損金算入できる制度です(事業年度あたり合計300万円が上限)。通常の減価償却と比べて、短期間で費用化できるため、資金の回収や節税の観点でメリットがあります。

用語メモ:「少額減価償却資産の特例」(中小企業者等対象/上限あり)と、「取得価額10万円未満は一括費用化できる一般ルール(少額資産)」、および「一括償却資産(10万円以上20万円未満を3年均等)」は別制度です。後述の比較表をご参照ください。

関連する制度(セットで理解)

  • 少額資産(一般ルール):取得価額10万円未満はその年に全額経費。
  • 一括償却資産:取得価額10万円以上20万円未満3年均等で経費化。
  • 本特例(中小企業者等):取得価額30万円未満その年に全額経費(年間合計上限300万円)。

対象と要件(概要)

項目要件・考え方
対象者原則として資本金1億円以下の中小企業者等、または青色申告の個人事業主
対象資産取得価額30万円未満の減価償却資産(器具備品、機械装置、工具、PC・複合機、オフィス家具など)
上限1事業年度の取得価額合計が300万円まで(超過分は特例対象外)
適用時期適用期限や対象期間は税制改正の影響を受けるため、購入前に最新要件を要確認(社内顧問・税理士等と協議推奨)
経理方式税込経理は税込金額、税抜経理は税抜金額で「30万円未満」判定(後述例)

他制度との選択関係(重複不可)

同一資産について、以下の選択は重複適用不可です。該当するものをいずれか1つ選びます。

制度対象額費用化方法年間上限向いているケース
少額資産(一般)10万円未満当期全額なし少額の備品を機動的に購入
一括償却資産10万円以上20万円未満3年均等なし利益平準化(年次の凸凹を均す)
少額減価償却資産の特例30万円未満当期全額1事業年度300万円年内に費用化して節税・損益調整したい

判定で迷いがちなポイント

1. 年間上限は「取得価額の合計300万円」

合計が300万円を超えると、超過分は本特例の対象外(通常償却へ)。
例:30万円の資産を12台購入=合計360万円10台分のみ特例対象、残り2台分は通常の減価償却が必要。

2. 税込・税抜で判定が異なる

採用している経理方式で「30万円未満」の判定が変わります。

  • 税抜経理:税抜価格で判定(例:税抜290,000円/税込313,200円 → 判定額290,000円でOK)
  • 税込経理:税込価格で判定(同例は313,200円30万円以上となりNG)

3. 「取得」と「使用開始」タイミング

期末駆け込みは、納品・検収・使用開始のタイミングに注意。実務上は請求書日付・納品日・検収書・設置完了日など、証憑の整備が肝心です。

年内導入の実務チェックリスト

  • ① 自社の経理方式(税込/税抜)を確認し、判定金額を誤らない。
  • ② 対象資産の単価数量年度内合計を見積り、300万円上限内かを事前判定。
  • ③ 納期・設置を含む「年内の使用開始」スケジュールを販売店とすり合わせ。
  • ④ 同一資産についての重複適用不可(少額資産/一括償却資産/本特例)を再確認。
  • ⑤ 決算着地(利益水準・税額)と損益インパクトを税理士と試算。
  • ⑥ 証憑(見積・発注書・納品書・検収書・請求書・支払記録)を一式ファイリング

重要: 適用期限や範囲は税制改正の影響を受けます。本文は制度理解の一般ガイドであり、最終判断は最新の法令・通達・実務運用の確認と、所轄税務署/顧問税理士等への相談を前提にしてください。

オフィス導入の具体例(年末までにやること)

  1. 要件整理: PC、複合機、オフィス家具、工具など、候補資産のリスト化(単価・数量・税抜/税込・納期)。
  2. 上限試算: 事業年度内の取得価額合計を算出し、300万円枠の残を把握。
  3. 発注と納期確保: 年末は配送・設置が混み合うため、納品・設置完了日の確約が重要。
  4. 検収・設置記録: 写真・設置報告・検収書類を整備し、使用開始の事実関係を明確化。
  5. 会計仕訳と証憑整理: 経理方式に沿った判定で仕訳し、証憑を年度内に整理保管。

コピー機・オフィス家具・備品の年内調達は「岡山オフィスづくり.com」へ

複合機やオフィス家具、各種備品の年内導入は、納期・設置の段取りが成否を分けます。上限枠の残確認や損益インパクトの考慮と併せて、早めの発注・日程確保をご検討ください。

  • 導入提案: 企業規模・用途に適した機種選定と数量最適化
  • 設置・レイアウト: 動線・配線まで考慮した設置、既存家具との整合
  • 内装工事連携: パーテーションや床・電源計画と一体での最適化
  • 年末スケジュール最適化: 納品・検収・使用開始日の段取り支援

岡山市エリアでのオフィスづくり実績が豊富です。年末の慌ただしさの前に、まずはご相談ください。要件ヒアリングから見積・導入・設置まで、ワンストップでサポートいたします。

この記事を書いたのは
大橋 WORK SMILE LABO
大橋 淳紀
株式会社WORK SMILE LABO
大学を卒業後、新卒で㈱ワークスマイルラボに入社。
オフィス関連商品はすべてお任せください。
お客様の理念やビジョンといったコンセプトを大切にし、それが伝わるオフィスづくりの提案を行っています。
大橋 WORK SMILE LABO 営業